栗東民報 2014年7月27日号


来年4月からはじまる新制度

慢性化する保育士不足・待機児童の解消に
 つながる事業計画の策定を

入園手続きや保育がどう変わるのか
    保護者や保育関係者から不安の声

子ども子育て新システム関連3法の成立により、H27年4月就学前の子ども達の保育・教育に関わる制度が大きく変わります。

新制度によれば、保育園や幼稚園を利用する場合、保護者は自治体に申請し、子どもの保育の必要性と保育量を認定した「認定書」の交付を受けます。保護者は、この「認定書」を提示して利用申し込みを行い、これを受けた自治体は利用調整・施設(保育園・幼稚園など)のあっせん・入園の要請を行うとされています。

これまでは、「自治体もしくは施設に直接入園申し込む→自治体から入園決定通知が届く→入園手続きを行う」という順に動いていました。
新制度によってどう変わるのか、入園手続きの順序すらいまだに明らかになっておらず、保護者や関係者から不安の声があがっています。

 



新制度の大枠や最低基準は国が決めるけれど

どのように実施するかは自治体の条例や事業計画で

新制度では、児童福祉法24条の第1項と第2項の2つの位置づけによる事業が存在します。

1項は自治体が保育を実施する従来型の保育園です。

2項は認定こども園や幼稚園・地域型保育で、自治体の保育実施義務の対象外になり、条件さえ満たせば企業参入が可能になります。また、2項の施設は利用者(保護者)と施設事業者による直接契約になり、自治体の保育実施責任が後退します。

新制度の大枠や最低基準は国が決めますが、どのように実施していくかは、自治体で定められる条例や事業計画に委ねられます。
 

新制度の詳細を早急に明らかに

新制度では、さまざまな施設が存在し、基準も異なり、複雑な体系となるため、保護者から、来年度の入園申し込みはどうなるのか、保育料も変わらないのか、これまでと同じように保育が受けられるのか等の不安の声が寄せられています。

市は、できるだけ早い時期に、新制度によって変わる点などを早急に明らかにするべきです。

9月議会でようやく条例化

例年、10月初旬に翌年4月からの保育園・幼稚園等への入園申し込みの受付けが行われます。その案内は、広報りっとうの9月号に掲載されることになっています。

新制度にもとづいて保育や関連事務を実施していくためには、その基本となる条例を定める必要があります。新制度による入園案内を、例年と同様に広報9月号に掲載するためには、遅くとも6月議会に条例案を上程し、議決しておかなければなりません。ところが、その条例はいまだに定められていません。

市は「条例化が遅れている理由は、新制度にかかわる国からの通知や指導が遅れているためである」「条例案は、9月議会に上程する予定である」と説明しています。なお、9月議会は9月2日~24日に開催される予定です。



入園の受付などの手続きは

例年より2~3週間遅れる見込み

市は「保護者から問い合わせが、頻繁にきている」「次年度の入園の案内は、広報10月号に掲載する予定である。入園の受付けは、例年より2~3週間遅れる見込みである。」と答えました。

さらに市は「不安や混乱を極力少なくするためにも、入園手続き等は出来る限り例年と変わらない方法で実施していきたい」としています。

 

新制度による事業計画で

待機児童の解消と保育環境の向上を

全国的に少子化であるにもかかわらず、保育園に入園を希望する子どもは増え続けています。入園を希望しても、園に空きがなく入園できない「待機児童」も増加傾向です。

本市においても待機児童は毎年存在しています(上表参照)。今年も4月時点では1名でしたが、例年同様に徐々に増えてきています。その主な要因は、保育士が確保できないためです。

保育士を確保し待機児童をなくすことが、最大の課題です。こうした課題解決や保育環境の向上など、保護者や保育関係者の意見が反映された事業計画の策定が求められます。


 
 年度  人数
 H26  13名
 H25  46名
 H24  49名
 H23  89名
 H22  68名
 H21  82名
*年度末における待機児童数の推移。
 但しH26年度は7月現在。






栗東民報 2014年7月27日号
日本共産党栗東市委員会発行

 市委員長 國松清太郎
 市会議員 大西時子
 市会議員 太田浩美